二次創作における公共マークのパロディについて
近年、多くの方がアニメやマンガの二次創作を楽しんでいただいていると思います。元の作品を愛していることを共有したい、同じ嗜好の人と共有したい……理由は多くあると思います。
そして同人誌を作成される方もいらっしゃいますが、中には立体物のグッズ、公共マークのパロディを作成される方が増えてきました。
本記事では公共マークをパロディすることの危険性を改めてお伝えするとともに、最悪の事態を招かないため、自分達の好きなものを守るため、注意喚起と問題提示をさせていただきます。
またこれに付随して、直近で実際に起きた事件に付いては別記事に纏めてあります。お時間があればそちらもご確認ください。
http://dabemi-ss.hateblo.jp/entry/2018/05/06/174014
関連:おそ松さん即売会におけるマタニティマークパロディ問題のまとめ
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グッズを作りたいと言う気持ちはとてもよく分かります。しかし、作成するものを気をつけなければ、作成者に非難が集まることとなります。
パロディと言うのは元になる作品があって初めて成立します。そして、パロディ元になるマークには、それぞれ使用規約が存在しています。
近年は男性向けでなく、女性向けジャンルでも『マタニティマーク』のパロディグッズを作成される方がいらっしゃるようです。
当然ですが、マタニティマークにも使用規約が存在しています。
出典:www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/maternity_mark_riyou/index.html
厚生労働省公式ホームページ マタニティマーク使用規定を参照
(直接リンクを避けるためhttp://を省いています)
マタニティマークは、体調を崩しやすかったり、不安定な状況になりやすい妊婦さんを守るためのマークです。故にこのようなしっかりとした使用規約が存在し、簡単に類似のもの、ぱっと見て間違えてしまうようなものを作れなくなっています。
ご覧戴きたいのはこの部分。
第三条二項。『マタニティマークの作成趣旨に反したら、マークは使ってはならない』と書かれており、マタニティマークの作成趣旨とは妊婦さんを守ること。すなわちマタニティマークのパロディは作成趣旨から外れているため、問題になります。
一部から「マタニティマークそのものではないので問題視する必要はない」「見間違えることはない」との声が上がっておりますが、
実際の生活でこんなに酷似したものを付けた人がいて、本当にぱっと見でマタニティマークではないと判断できますか?私は多分無理です。
また、そう言ったことが一度でも起こった後、本物のマークを見ても『またマタニティマークではなく何かのパロディなのではないか』と言う疑念を生む可能性もあります。
そうなった時に困るのは、本当に助けて欲しいからこそマタニティマークをつけている妊婦さん達です。
誇張としてたまに『妊婦は病気だ』と言う方もおりますが、実際に病気にかかっているのではないかと思われる程に大変であり、一分一秒を争う状況にだって簡単になってしまうんです。
二次創作が人の命を軽んじていい訳がありません。重要なのは『緊急時に母子の命が失われる可能性が高まること』。妊婦さんであると分かったら使えない薬や治療法もありますし、本人が意識を失ったとしても周りが状況を理解し、優先して治療に当たってもらえるように意思表示するためのものです。
緊急時にバッジの紛らわしいマークを見間違えないとは言い切れず、妊婦さんでないのに妊婦さんにしなければいけない対応をされる方も出てくるかもしれません。
また、 時と場合によると思われますが、一項の『営利目的での使用』にも恐らく引っかかってしまいます。
新刊のノベルティやイベントでの販売として作成された場合、営利目的での使用と充分に判断することが出来ると思われます。
以前からも他ジャンルにてこのようなパロディが行われており、そしてそのたびに悪質であると多くの批判がありますが、ほとんどは自主回収に動かないようです。
一例
http://wristmatome.blog.fc2.com/blog-entry-2.html:テイルズシリーズの事例
https://twitter.com/kemhok/status/883651269914615810?ref_src=twsrc^tfw:アイカツでの事例
これらのことが続き問題視され続ければ、結果、最終的にそのジャンルの二次創作が終わってしまうことも考えられます。
現在二次創作を行っているみなさま、どうか危機感を持ってください。
私も含め、あなた方は版権元に『見逃されているだけ』なんです。ただグレーなだけなんです。
版権元が貴方の作品を訴えようと思えば簡単に訴えられるし、恐らく確実に負けます。作品を愛していて行った行動で、作品から訴えられることは絶対に避けるべきです。
そして貴方がたや私の行動で、元の作品が大きく貶められたり、周りから敬遠される……と言う、自分達『二次創作をしていないファンの人達』にまで迷惑がかかります。
同人活動、二次創作にも様々なジャンルがあります。しかし、マンガやアニメ、ゲームを楽しんでいる中には、そう言った活動はされていないファンの方もとても多いのです。
さらに公共マークのパロディ、と言うモラルとしても有り得ないことで、最悪の場合人命にまで被害が及ぶかもしれないのです。
たとえば、ですが、パロディグッズと混同された結果、本物のマタニティマークの効力が失われる、なんて馬鹿げた結果を生むことだけは絶対に避けなければなりません。
女性は誰でもマークを付ける可能性があります。また、付けたくても付けられない方もいるかもしれません、付けていて不快なことをされた方もいるかもしれません。二次被害を出してはならないのです。それだけセンシティブな問題なのです。
これらの問題によって考え得る未来は、あらゆる創作による即売会や本、ノベルティ制作の完全禁止。つづいて二次創作による即売会等の完全禁止、もしくは特定ジャンルのイベント禁止。
結果として二次被害的に二次創作そのものが無くなるかも知れないと言うこと。これを頭に入れておいてほしいのです。
まずは「モラルをよく考える」こと。マタニティマークのパロディをしたら妊婦さん本人がどう思うのか、或いは社会全体にどう思われるのか、周りのことをよく考えてください。そして少しでもおかしいと思ったら制作は止める、外に絶対持ち出さないよう呼びかける等の厳重な対策をしてください。
また、今回は特に近年多く取り沙汰されるマタニティマークを重点的にお話しましたが、他にも様々な公共マークが存在します。これらのマークは一見してすぐに分かるように作られている理由があります。全てを覚えることは難しいかもしれません。作成前に必ず規約含め確認してください。
「同じようなことが起きたら本人に伝える、周りに呼びかける」こと。あってはならない事件だと思います。だからこそ周りが危機的意識を覚え、同じような事件を未然に防ぐ、と言うことを心掛けてください。
「ノベルティ制作には充分注意を払う」こと。特段、今回はマタニティマークと言う困っている人を助けるためのマークについての話が主ですが、即売会参加に伴ってノベルティを制作する事は義務ではありません。
さらに皆様お分かりかとは思いますが、立体物は公式のグッズと類似する恐れもあり大変危険です。公式から海賊版と認定されたり、公式アナウンスを受けてしまう可能性も存在します。制作前、制作後にしっかり確認してください。
以上をお守り戴ければ、問題なく今まで通り同人誌制作や二次創作での活動は可能かと思われます。皆様の作品がどうか誰かを傷つけるものではなく、誰かの心を豊かにするものであることを祈っています。