ザンキゼロと世紀末デイズに思うアレ

割り切りが必要、って話。

 

『あの○○チームの最新作!』とか言われると思わず期待値は上がる。その前例に上がった作品が良ければ良いほど。

ちょうどそんな作品がスパイクチュンソフトから近々で2本も出た。

 

ひとつは『ザンキゼロ』(PS4/PSV)。あのダンガンロンパシリーズを作ったプロデューサーの最新作だ。

(※ダンガンロンパシナリオライター、小高和剛は不参加である)

もうひとつは『世紀末デイズ』(iOSAndroid)。こちらはあの不思議のダンジョンシリーズのチーム最新作である。

 

実のところ、どちらとも共通点がある。

それは、『今までのゲームとは、若干変わったモノを作ってきた』と言うところだ。

ザンキゼロ』なら、シナリオで次々と謎が解ける巧妙さやそれぞれの個性の際だち方、豪華キャストの使い方などはまるで『ダンガンロンパを踏襲したようだ』と思える。

『世紀末デイズ』も基本はローグライク、アイテムを拾って使って、鑑定アイテムは持ち帰ってと『ダンジョンシリーズの正当後継』のように思える。

しかし、どちらも実のところそうではない。

 

例えば、『ザンキゼロ』に関しては『ノンストップサバイバルアクション』だ。

どういうことかって言うと、全てがリアルタイムに進行する。アイテムを使っている時も、メニュー画面を出した時も、時間は常に動いている。(その証拠なのか、メニュー画面でも敵の声は聞こえる)

ゲームの方向性はどちらかと言えば古き良きハスクラゲーって感じだし、私はむしろ画面や操作方法については初代『とともの。(剣と魔法と学園もの。)』を思い出した。

しかもめちゃくちゃアクションも要求される上、レベルの概念もあるのでRPGのいわゆる育成に慣れていないとわたわたする。アイテムを拾っちゃ新しい武器や料理を作って、たまに仲間と添い寝して……。

その上でストーリーは多くの謎があり、キャラと一緒にこの世界の謎を解いていく必要がある。勿論ダンジョン(廃墟)にも謎解きはあるので頭を使う必要がある。

ちなみにこのゲームはサバイバルホラーである。間違えないようにしてほしい。めちゃくちゃ怖い。

これは明確に『ダンガンロンパとは違う』のである。……それでもユーザーから似てると言われるのは、ストーリーの印象やブラックジョークの使い方だったり、声優陣の使い方だったり、自称スパチュン社員声優・松風雅也さんの笑顔がとても素敵だからだったり(?)するんだろう。

 

一方の『世紀末デイズ』はどうなのかと言うと、いわゆる正当ローグライク風、だ。

なんで『ローグライク風』なのかと言うと、やっぱりちょっとそこは昨今のソシャゲ風にひねられた部分があったりするから。

シレントルネコのいわゆる『不思議のダンジョンシリーズ』をやったことある人は分かるだろうが、基本的にこれらのゲームではダンジョンから出るとレベルが戻る。

必ずスタート時はレベル1から。その代わり武具が持ち込み可能なので、武具を鍛え、アイテムを集め、より難度の高いダンジョンに挑むのが鉄則だった。

ところが『世紀末デイズ』にはレベルの概念がある。そして、細かいが持ち込みアイテムと武具の枠は別だ。さらにパーティを組んで最大4人でプレイすることになる。

ダンジョンはダンジョンでもシレンではなく『ポケモン不思議のダンジョン』を思い出す仕様である。

(ちなみにまだ序盤しかプレイしていないので出ていないんだろうけど、未鑑定の杖は出ていない。未鑑定武ボックスはあるけど、ダンジョン攻略中には開けられないし、武具かアイテムかどうかも恐らくランダムだ)

 

これらに必ず存在するのは『古参のファン』……つまり、『このシリーズスタッフの最新作だから期待していたのに、残念、がっかり』と言いに来る人───悪意以て言えば『無粋な古参気取り』だろう。

ダンガンロンパのスタッフって言うから期待したのに、ホラー要素のごり押しが辛い。操作性がゴミすぎてただイライラするだけ』とか(いや、まあ確かに操作性はあまりよくなかったのだけれど)。『ダンジョンシリーズのスタッフと聞いたのに、レベルも下がらないし持ち物もなくならない。こんなものはダンジョンシリーズではない』とか。

例えばそれがナンバリングだったり、外伝だったり、あるいはスタッフが「前作を意識しました」と言ってるならまあ分からんでもない。

だけど『ザンキゼロ』も『世紀末デイズ』もそんなことは一言も言ってないのである。

ザンキゼロ』に関しては操作性の難やホラー要素が強すぎて投げ出す人がいたことがマイナスだが、それぞれのキャラクターとするサバイバルは本当に楽しかった。スパチュンの新規開拓の意志を強く見ることができたと思うし、この数年でも特に良いゲームだったと心から思う。

『世紀末デイズ』はまだ少ししか遊んでいないが、スマートフォン向けに実に丁寧にチューンナップされたローグライクだと思うし、ストーリー展開もしっかり練られていて、キャラクターにも個性があり分かりやすい。さらにオート機能まで付いており、さくさくとプレイングするための細やかな気遣いを感じる。

それらは『新規タイトル』なのだ。

『今までのシリーズのスタッフが関わった全く別のタイトル』なのだと言うことを忘れちゃいけない。そしてだからこそそのタイトル独自の善し悪しを探さなきゃいけない。

シリーズでもない限り「前作と比べて~」なんてのはあんまり当てに出来ないし、もっと言えばその手の批評もあまり当てに出来ない。たぶんこのブログも当てにならないので、本当におもしろいかどうかは自分でやってみるしかない。

 

『世紀末デイズ』に関しては同じローグライクと言うジャンルだが、プラットフォームが違うからこそ操作性やルールが違う、と言うことが念頭から抜けている時点で議論の対象外だろう。

全く同じになんて出来ない。そもそもプレイする層、ターゲットにしたい層が従来のシリーズからは少しズレている。今までのファンを全て掴みたいなら『世紀末デイズ』をPSV向けにでも開発して、『不思議のダンジョンシリーズ』のルールに沿わせるのが一番だろう。でもそうはしなかった。これが答えじゃないのか。

「ダンジョンシリーズのスタッフだから、ダンジョンシリーズと同じものを期待した」と言うのは、ちょっとどうだろうか。自分から期待値を上げておいて、そこを下回ったからって何言ってもいいのか。自分が勝手に期待しただけのくせに、自分の意にそぐわないものは全てクソゲーなのか。

 

勿論期待されるってことはそれだけ信頼を置かれている、今までの作品がおもしろかったと言うことの証明にほかならない。

 

ちなみに私は今、小高和剛氏の新作に思いを馳せている。はよオリジナルでもなんでもいいから、新作だして小高神……。